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自由なき人生など、惨めなものだ - Andrew Hamilton

障害者枠採用で優良大手企業に内定するコツを伝授する【綺麗事無し】

f:id:yRy:20191009002716j:plainphoto credit: Medical Heritage Library, Inc. via photopin

 
個人運営サイトだからこそ書ける『障害者枠採用を突破する勘所』をつらつらと書いていきます。

 

 

 

記事作成者の自己紹介

 

一応、自己紹介をしておきますね。

  • 先天性重度聴覚障害(3級)持ち
  • 国立大学院で特殊教育について研究
  • メーカーで障害者採用の仕事を担当
  • 大手の障害者就職支援サービスの利用経験有り
  • 新卒時に障害者枠採用の面接で5社中1社に内定
  • 転職時の障害者採用枠の面接では5社受けて全勝
  • 高等部のある特殊教育学校の教師から生徒の就職に関する相談を受けた経験有り

私自身、障害者枠採用で就職している身であり、かつ障害者の就職について、第三者の視点から眺める機会が多くありました。

そんな私だからこそ真っ先にはっきりさせておかないといけない点がひとつあります。

障害者にとって本当の勝負はその会社に入ってからです。
入ってからが勝負です。

大切なことなので、二回書きました。

それでも

「内定をもらえないと何も始まらない」
「入られるならば優良大手に入りたい!」

と考えるのは至極当たり前の感情です。

そんな方に向けて、障害者枠採用の面接を通過するノウハウを綺麗事抜きで書いていきます。

 

 

【内定のコツ1】障害受容の深さをアピールする

 

面接を受けると、面接官から必要な支援について必ず訊ねられます。

ここで、正直に「これこれこういう支援が欲しい!」と必要な支援だけをアピールをした場合、輝かしい経歴や実績が無い限り、残念な結果に終わってしまいます。

 

ここで大切になる観点として、雇用する側の視点に立つことです。
配慮について事細かな要望を出す志望者に、面接官は次のような印象を抱きます

  • 自分でどうにかしようとする意欲、バイタリティが感じられない
  • なんでも人のせいにして生きてきた感がぬぐえない
  • あなたを雇用することで、仕事がかえって増えそう

 


通過するような人間は「必要な配慮はなんですか?」と聞かれたときに、次のようなアピールをします。

「これまで、○○という点で苦労してきました。しかし、●●という工夫をして乗り越えてきました。それでも私にできることには限界があります。パソコンの操作に支障はないため、資料作りなどの面で御社に貢献できると考えていますが、○○というハンデによっては、貢献できない側面もたくさんあります。その点だけご理解をいただきたく存じます」

  

上記の発言には、以下のようなアピールポイントを含んでいます。

  • 理想と現実の折り合いをつけることができている
  • 自分なりに工夫して、自信の市場価値を企業から求められているニーズにすり合わせようとしている
  • 障害を受け入れることができているため、提案内容が建設的

つまり、実務の中で、自分の障害がどういった悪影響を与えるのかを冷静に分析したうえでの発言が、重要になります。

 

この観点は「障害受容の浅い人」の思考にはない観点です。障害受容が浅い方は「障害のある体に生まれたのは私のせいではない。なのに、なぜ私がそこまで社会に歩み寄らなければならない」と考えます。

 

正論です。

もっと言うならば、私もそのように叫びたい。

しかし、我々、障害者はマイノリティなのです。

 

この点において、賢く考えなければいけません。

あなたは、理想と現実の間にあるキャズムを冷静に分析し、キャズムを埋め合わせるバイタリティと思想を備えた人材であることを、企業にアピールしなければいけません。

 

「障害受容に深さのある人材」を企業は求めています。

ならば、障害受容が一定水準まで進んでおり、健常者の世界でも生き抜いていけるサバイバル術のある人材であることをアピールしましょう。

 

 

 

【内定のコツ2】貢献できる分野を具体的にアピールする

 

面接官は、障害に配慮したいと考えています。

しかし、給料を払うからには貢献してもらわなければなりません。

 

人事部の偉い人の考えはともかく、面接をしている人は、どうにかして目の前にいる障害者に仕事を提供できないかと本気で考えています。

面接官は、意地悪をしようとして、あなたに不合格を出しているわけではないのです。それでも、あなたに任せられそうな仕事が無い場合は、不合格を言い渡すしかないのです。

この観点は労働基準法にも反していません。障害者への配慮よりも営利団体であることが優先されるのです。

 

さて、面接官はあなたにアサインできる仕事があるかどうかを探ろうとしています。

あなたはどうしますか?

 

こうした質問であればあなたはスルスルと答えられますね。

私には~ができます!という発言をすればよいだけです。

 

しかし、ここで落とし穴が二つあります。
面接官は「どういった仕事なら任せられるか分からないから、教えてくれませんか」と質問することは無いという点です。

 

つまり、あなたの発言の端々に、「私は~ができます」というアピールを挟み込む必要があります。

これができていない人が実に多いように思われます。

また、

「私は人と関わるのが得意です」
「私は明るい性格です」
「私はものごとにコツコツと取り組む性格です」

 といったようなアピールも、実はアウトです。

なぜならば、あなたにどういう仕事を任せられるか具体的なイメージが持てないからです。

人と関わるのが得意だから、なにができるの?
明るい性格だから、なにができるの?
コツコツ取り組めるとして、なにができるの?

 面接官はこう考えます。

そして、任せられる仕事が無いのに内定を出すとお互い不幸になるだろうと考えて、面接官は不合格を出すことになります。

 

例えば、耳の聞こえない私が「意見の対立を解消したり、話し合いでこちらに有利な条件を引き出したりなど、折衝が得意です」と話したところで、あなたは私に座礁間際のプロジェクトの渦中に投げ入れようと思うでしょうか。思わないはずです。

 

さて、効果的なアピールの例として以下が挙げられます。

「アルバイトでお皿を洗う仕事をしていました。はじめは、資料の整理など、誰にでもできそうな仕事を私に振ってもらえたらと思います。効率的に処理してみせます。私は人と関わるのが好きなので、そうした地道な仕事をこなしつつ、私にできる業務領域を周囲の方にアピールできたらと思います」

 

「Excel操作については、ある程度できます。例えば、vlokup関数やピボットテーブルを使って、データベースに誤りが無いかどうか確認することができます。私は明るい性格ですので、事務について連携を求められたときにも、コミュニケーションをとって解決していきたいです」

 

「情報リテラシーに関する高いスキルは持ち合わせておりませんが、両手は使えますので、パソコン操作を中心とした業務で貢献出来たらと考えています。パソコンに対する抵抗は少ないので、Officeソフトの操作については、これから覚えていく所存です。物事にコツコツと取り組めることが私の強みだと考えています」

どうでしょうか。
こうしたアピールをされると、読み手であるあなたにも「~という仕事を任せられそうだな」とイメージがしやすいのではないでしょうか。

良い例3点に共通するのは、泥臭い実務にある程度対応できそうだなというイメージを面接官に喚起させる強度です。

そのうえで、内面をアピールしています。

 

 

 

【内定のコツ3】最高の状態の自分で応募する

 

障害のある方はとても苦労していると思います。

あなたが勇気を出して、周囲の人に悩みや苦労を打ち明けたところで、困ったような顔で「みんな大変なんだから」とやんわり諫められた経験を持つ方も多いでしょう。

結果的に、負の感情すべてを腹におさめて消化しないと、
今日まで生きてゆかれなかった人間だと思います。

それでも、私は言わねばなりません。

世に対する恨みつらみが表情に出ている人は、面接に落ちます。

自分には何もできない、という無力感に押しつぶされそうな顔をしている人は、面接に落ちます。

 

ネガティブな自分で面接を受けてはいけません。
自己憐憫の感情があるうちは面接を受けることを控えた方が良いでしょう。

 

加えて、その企業を受けられるチャンスは一度だけ、と思っておいた方が賢明です。

ほとんどの企業では、あなたが応募した履歴が残っています。一度落とした人は、二回目以降の応募時に、よほ輝かしい経歴が加わらない限り、通過させることはありません。

つまり、最初の応募時が内定をもらえる最大のチャンスなのです。

 

障害者枠採用は年中募集していることが多いです。
ネット上に公開されている求人が消えたとしても、有能な障害者は多くとりたいと考えるのが障害者採用担当者の考えです。

 

新卒採用エントリーや、求人情報の公開時期にこだわる必要はありません。「障害者雇用に関心のある企業」を雇用条件と併せてリストアップしておけば充分です。

あなたの心が最も元気な時、かつ日々が最も充実している時に、そのリストにある興味関心のある企業へ応募するべきです。

 

精神障害のある人は、症状が落ち着いている時に応募するようにしましょう。

身体障害のある人は、心身の健康度と自尊感情が高まっている時に応募するようにしましょう。

前職でうまくゆかず、退職してしまった人は、家族に相談の上、その問題についてゆっくりと内省できる時間を十分に取ってから、転職活動をした方がよいでしょう。

 

さて、あなたが私のアトバイスを素直に聞き入れてくださり、求人への応募を保留したとしても、働くことができない期間、社会からはぐれてしまったような気持ちになり、気分が沈んでしまうことは充分に予想されます。

「最高の自分」を用意するつもりが、それでは本末転倒です。

 

そうしたときは、アルバイトをすると良いでしょう。
アルバイト経験から見えてくる世界もありますし、アルバイトを通して自分の適性を知ることもたくさんあります。

企業からしても、アルバイト経験のある障害者は雇用に前向きになります。

皆さんが思っている以上に、アルバイト経験のある障害者は少ないのです。

アルバイト経験は、面接においてかなり強力な武器になります。

 

慌てず、「最高の自分」で面接に臨めるよう周到な準備をしましょう

 

 


以上です。
障害のあるすべての人に、
ささやかながらのエールを込めて。