『世界最強の商人』と出会ったのは、4年も昔のことである。いまさら書こうとした理由については分からない。純粋に、書いてもいいと思えたから、書いたまでだ。
こちらの本である。
そもそも、この記事に到達する人は、本の内容を知っている層と思われるため、内容の詳細については言及しない。
特徴だけ紹介しよう。
・読むのに1時間で済む人もいれば、300日かかる人もいる
・角川文庫が出版するまでは一万円以上の値段がした自己啓発書だった
・世界中の成功者が本書を人生のバイブルとして挙げている
本記事の目次は以下の通りだ。
さて、語ろうか。
『世界最強の商人』と出会った頃の私
次の就職先も決めずに仕事を辞めて数か月が過ぎた頃だった。大失恋、人生を賭けて取り組んでいた資格試験への不合格、何をやっても空回りしてしまう職場での人間関係、こうしたイベントに心がボロボロになっていた。俺は心を癒す時間を欲していた。一人になりたかったし、世の中から消え去りたかった。
両親、友達とは連絡を取っていなかった。話すことすら苦痛だった。
当時、さびれた駅に住んでいた。駅の周辺にTSUTAYAとスーパーがあるほかは何もない場所だった。築年数20年の、だけど一人暮らしするには無駄に広いアパートで、朝と夜が交互にやってくる気配を窓から眺めているだけの日々だった。誰にも会わず、引きこもって、お酒を飲んで、タバコを吸って、外を眺めて過ごした。
ある日、さびれた駅の傍にあるTSUTAYAで『世界最強の商人』を見つけた。
初版の新作の棚に置かれてあった。吸い寄せられるように、本書を手に取った。あらすじだけを読み、中身についてはよく確認しなかった。
そしてレジに向かい、本書を買った。
俺は『本との運命的な出逢い』と言うものを信じている。運命の本と言うのは、その人が本当にその本を欲している時に現れる、というものだ。
なぜ、この背景を語ったのか。なぜならば、こうした状況でなければ、俺は『世界最強の商人』を300日かけて読むことはなかった、と断言できるからだ。
この本を300日かけて読むような酔狂はほとんどいない。だが、それは幸せなことであり、意志の弱さとは何の関係もしない、と俺は思っている。だから、300日かけて読まなかったといって、それは何の損失でもない。ただ、あなたにとって『世界最強の商人』が運命の本ではなかったというだけのことだ。
俺は300日かけて読むことで救われたかった。
救われたかったから、300日と言う時間を律義に守ったのだ。
さて、300日かけて読んだ結果を、次の項でスパッと述べましょうか。
『世界最強の商人』を読んでいる300日間に起ったこと
勘違いしないで欲しい。本の紹介ではない。『世界最強の商人』を読んでいる300日の間に俺の人生がどういう風に変わっていったか、その在り方を、淡々と書き連ねた。
そう、以下のようなことが300日の間に起った。
フィリピンのセブ島に短期語学留学した
本書と出会った日、俺はやりたいことを書きだした。そしてフィリピンへの留学をすぐに予約した。やりたいことリストに「英語コンプレックスの解消」と「解放的な場所に行きたい」があった。
だが、いまはもう英語に対するコンプレックスは無い。英語が得意と言うほどでもないが、読んだり書いたりするのに不自由はなくなった。
留学期間は、友達ができなかった。楽しくなかった。だから、おれはホテルの前でタバコを吸っている原付バイクのドライバーに1500ペソを払って、セブ島を横断した。80キロ以上の速度でかっ飛ばしてもらうようドライバーにはリクエストした。
セブ島には信号がない。旅行者がセブ島の道路を横断しようとすると、その20メートルを渡るのに命が縮む想いを何度もするだろう。また、道路も整備されていない。学校のグラウンドのような道路はまだマシな部類だった。
そのような島を、バイクですっとばした。どんな絶叫マシンよりもスリリングだった。道中、バイクが一度、急ブレーキのち横転した。慣性の力からか、バイクから身体が投げ出されるようなことにはならなかった。ドライバーは慣れたようにバイクを起こし、また80キロ以上の速度で走った。ひょっとすると本当に死ぬかもしれないという興奮が、俺の心に火をつけた。
俺は生きたい、と猛烈に思った。バイクの後ろで吠えた。
そっから俺は生まれ変わったように思う。
このサイトを立ち上げた
この記事より昔に書いた記事は、この本と出会ってすぐに書き始めたものだ。結局、ほかにやりたいことが見つかったため、更新はすぐに途絶えたが、それでも数か月で、2万PVを達成するくらいには成長した。お金を稼ぐ手段を持たなかった俺とって、この成功体験がどれほどの勇気になっただろう。
得意なことを見つけられた。それだけのことが涙が出るほどありがたかった。
高知能団体に入った
入会テストを受けようと決心して、受けたら受かった。
その辺のホームレスが堂々としていると感じるくらいには自尊心がすり減っていた俺にとって、高知能団体への所属は、大いに自信となった。メンバーとの交流なんて、もちろんしていない。
俺はIQが高い方である、ということだけ分かれば十分だった。
学歴ロンダリングして高学歴になった
正直、学部の大学はそこまでいい大学ではない。俺は学歴コンプレックスをこじらせていた。しかし、それが大学院進学の決め手になったわけではない。
フィリピンから帰国してすぐに、俺は図書館に半年籠った。
あらゆる本を読んだ。そして俺は、知りたい答えがどこにもならないことを知った。知るために、大学院で研究したいと思った。
それからは狂ったように勉強をした。朝から夜まで、半年間だ。人生でここまで本気で勉強したことは無いというくらいに勉強をした。
そして、志望の大学院にトップ成績で合格した。
とある集まりの代表を務めるようになった
俺はリーダーという器ではなかった。かっこよく言えば、問題は自分一人でなんとかしてきた。ダサく言えば共同体の中で浮いたポジションに収まってしまうような人間だった。そんな俺が、人を率いようとする意欲を持った。100人規模のその集まりが、運営すらままならないほど落ち込んでいた時期に、俺は立候補して代表になった。
挑戦しようという意欲がかつてなく高まっていた。組織は立ち直った。建て直すまでの期間は辛いことの方が多かった。しかし、今の私をかたちづくるうえで必要な経験だった。この経験によって、私のうちに社会性というものが芽生えた。
そして、いま現在
この本に出会うまでは考えられないような環境の中にいる。
でも、現状に満足しているかと問われると分からない。
いや、不満の方が多い。
満たされていないし、乾いている。
一つ言えるのは、俺は何か大きなことを成し遂げるだろう、という自信だけだ。
4年前には想像もできなかったようなことが、今ならやれる。
確かに、そう思える。
『世界最強の商人』を300日かけて読んだ方法論
詳細に語るのは良くないと思われるため、簡潔に留める。
【方法1】ノートに時期を記録する(その記録をしおり代わりに使うとよし)
【方法2】某ページから最後のページまでを紙テープで留める
方法1と方法2については、画像を見てもらった方が早いだろう。
(いつこの本を手に入れたかバレてしまうが。)
本の表紙にある剥がれ跡と、どのように記録を取っているかだけ確認すればよい。

【方法論3】スマホのボイスレコーダー機能を活用する
自分の声の方が、より深く意識に染み入りやすいよ、とだけ。
【方法論4】英語の学習教材として利用した
私は英語の勉強もしたかった。
そこで、本書の原書を手に入れて、それを読むことで気分を入れ替えることもあった。原書の場合、古い表現が多く読むのに苦労するかもしれないが、日本語訳が頭に入っていると、するすると読めるようになるまで時間はかからないだろう。
英語の音源はYouTubeにある。

The Greatest Salesman in the World (English Edition)
- 作者: Og Mandino
- 出版社/メーカー: Bantam
- 発売日: 2011/01/05
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
【方法論5】きっちり守れなくてもいい
方法論と言うよりはマインドセットだ。私も守れなかった。きっちり守ろうとすることは私にも無理だった。
だが、とあるルールだけは守った。
『300日』だけは守った。
当然、最後にある物語部分を読めたのも300日後だった。
さいごに
さて、かたくなに本の内容を伏せてきた私だが、一つの言葉を送ろう。
『世界最強の商人』を手にした人は、みなが試練を投げかけられる前にこの言葉を目にしたはずだ。
『世界最強の商人』をこれから手にする人は、みなが試練を投げかけられる前にこの言葉を目にするはずだ。
もし、成功しようとする決意が十分に固ければ、失敗することは無い
『世界最強の商人』角川文庫 より引用
Good luck!