photo credit: Thessaloniki Alexander the great park - 02 via photopin (license)
なぁ、かつての子どもたちよ。いまでこそ大人面している。お前だ。俺は何を伝えた?一度だって逃げたか?
生まれ見ぬ、子どもたちよ。いずれ父に聞いてみなさい。僕らの時代になぜヒーローはいない?誰が殺したかと
ラスト オブ ヒーロー / ポルノグラフィティ
※この記事は極論としてお楽しみください。
現代、日本に英雄がいない。
現代の日本にいない。
登場からわずか10日足らずで、瓦解寸前だったオルレアンの町を解放したジャンヌダルクのような英雄が。
海を割ることで民に希望と道を示したモーセような英雄が。
エクスカリバーに選ばれ、「円卓の騎士」の仲間とともに、アングロ・サクソン人の侵略を撃退したアーサー王のような英雄が。
いないのだ。
いや、彼らは伝説上の人物だ。
リアルな人物で言えばどうだろうか。
アメリカは、リンカーン、キング牧師、近年で言えば、ウォーレン・バフェット、スティーブ・ジョブズ、ほかフリーメイソン登録メンバーに履いて捨てるほどいる。
中国は、始皇帝、項羽と劉邦、歴史書に登場する数多の豪傑たち、毛沢東、etc
日本もかつては、織田信長、武蔵坊弁慶、坂本龍馬、など英雄が多々存在していた。
しかし近年は?
日本のヒーローランキングのアンケート結果、ご覧いただきたい。
1.イチロー
2.キムタク
3.小泉純一郎
4.小沢一郎
5.新庄剛志
引用:現代のヒーローランキンング ニュース-ORICON STYLE-
イチローと小泉純一郎はまだわかる。2位がキムタク?明らかにドラマ「HERO」の影響。小沢一郎とか、ルックス、実績、どれを贔屓目に見ても英雄どころが悪代官のそれじゃねぇか。(ちなみに中国では鳩ポッポ元総理が英雄扱いを受けている。中国人は鳩山由紀夫氏をどう思ってるのか?)
分かるだろう。現代の日本には英雄がいない。
「英雄になる方法」という検索ワードから、英雄になりうる人物の特徴を探ろうとしたが、くだらない記事しかない。
くだらない記事その1:
ヒーローになるための筋トレ
くだらない記事その2:
現実世界でヒーローになるためのハウツー
くだらない記事その3:
世界のリアルヒーロー(なお、世界で最も有名なヒーローは前科1犯、武器は催眠スプレーのもよう)
英雄に求められる人物像&英雄が生まれる環境条件
今の時代、かつてないほど英雄が登場しにくくなっている。情報通信技術が発達し、英雄と呼ぶに値する存在があらわれたとしても、神々しいイメージが確立するより前に、情報の波に押しつぶされてしまう。それでもなお私は、現代の日本に英雄を求めてしまう。一種のシンデレラコンプレックスなのかもしれない。ここでは妄想逞しく、「英雄の人物像」「英雄はどこから生まれるのか」の2点について考察していく。
英雄に求められる人物像
わたしが現代の純ジャパ英雄に求める条件は下記3点だ。
①個の力で絶体絶命の状況にある人々を大量に救う
②世界的な知名度と実績の獲得
③大衆を惹きつけて離さないカリスマ
これらの条件は、カエサル、アレクサンドロス大王、ナポレオン、チェ・ゲバラなどの偉人の特徴を踏まえ、設定した。
英雄が生まれる環境の考察
さて、英雄が生まれる環境的条件について考察する。
アリの研究データに、怠けアリが2割ほど存在することを示すデータがある。このデータは、人間社会に2割の落ちこぼれが必ず発生する法則の説明として使われる。しかし、このデータにはもうひとつ重要な意味がある。働きアリが機能不全になった時、怠けアリが働きアリの代わりに仕事をするのだ。
英雄も同じだ。英雄は、大衆が正しく機能している環境のなかでは生まれない。英雄は、乱世、カオスのなかでしか生まれない。いまの日本は英雄が生まれるにしては平和すぎる。(平和であること、それはそれで素晴らしいことだが)
つまりだ、日本人の英雄があらわれるとすれば、その人物はいま、国外におり、世界的に重要かつ深刻と評価されている問題に取り組んでいる可能性が高い。
2014年の世界の諸問題ランキングには「宗教・民族対立」「社会格差」「環境汚染」「核兵器」「エイズなどの感染症」の5つがランクインしている。
この5つの問題に、「貧困」「テロリズム」の2つを加えた7つの国際問題から、いま英雄が身を投じている国際問題を探っていく。
英雄が生まれる環境と人物像の照合
以下、英雄の条件を満たす、国際問題を検証していく。
「宗教・民族対立」
最も危険だが、国が関与しにくい問題であり、個の活動成果が最大化しやすい。戦場カメラマン、傭兵、自衛隊、ボランティアなどの活動を行っている人物のなかから、大衆をまとめる人物が現れるかもしれない。
「社会格差(=難民問題)」
ユーロ危機に伴うEU解体問題で、大量の難民が発生している。
難民受け入れをめぐって東西に分裂するEU
「社会格差問題」というより「難民問題」と捉え直した方がよいだろう。
ヨーロッパに限らず、世界各地で難民数が増加している(下図参照)。難民は、各国の利害、経済が複雑に絡み合った結果、生まれるため、個人が解決するには非常に困難な問題である。一般個人にこの問題の解決を望むのは無理だろうが、外交官ならばあるいは解決できるかもしれない。政治家、官僚などの中から、英雄が現れる可能性も無くはない。

「環境汚染」
世界の環境問題は、そのスケールの大きさや解決に必要な予算的に、個人で解決できる問題とは考えにくい。UNEP(国連環境計画)の加盟国が取り組むべき問題であり、この問題から英雄が登場するとは思えない。ただ、今の日本は、福島の原発という世界的にも注目されている環境問題を抱えている。環境問題関連で英雄が現れるとしたら、原発問題に取り組んでいる団体のなかからあらわれる方が現実味がある。ただ、個人的な意見を言わせてもらえば、このテーマはなんというか、ビジネスライクすぎて、英雄っぽくない。
「核兵器」
個人では無理。できたらリンカーン上回るレベルの偉業。
「エイズなどの感染症」
日本人が治療薬開発済み。
おお、日本人にも英雄いるじゃないか!
エイズ問題ルートは満屋氏に託し、引き続き考察を進める。
「貧困」
個人が、非営利団体以上に貧困問題に貢献できるとは思えない。国内にいる莫大な資産を持つ人物が、本格的にこの問題解決に乗り出すことを期待したいが、世界富豪ランキング4位のウォーレン・バフェットの慈悲活動すらさほど話題になっていないあたり期待薄だろう。(余談だが、寄付金集め代行は実のいい請負ビジネスである。例えば、あなたが営業担当のトークにより国境なき医師団への寄付を行った場合、あなたが寄付した額の10~20%は、営業者にすっぱ抜かれている。寄付するならば、営業経由ではなく、直接寄付することをお薦めする。)
「テロリズム」
この問題に首を突っ込むのはさすがの英雄でも危険だ。ボランティアスタッフや民間人さえ無差別に虐殺するような相手に、ただの個人がどうこうできるはずがない。この問題に取り組んでいる人物は、最終的にテロリストに捕獲され、英雄らしかぬ惨めな公開処刑姿を世界に晒すことになるだろう。英雄どころが、国に迷惑をかける存在になる。深刻かつ喫緊の問題に取り組む者の勇気と信念は敬服するに値するが、ここから英雄が現れる可能性は、半年生き続けるセミを見つけるより低いだろう。
上記の選分けにより、英雄の卵が現れる可能性が高い国際問題テーマは、紛争問題と難民問題だろう。
この二つの問題に取り組んでいる者は、明日生きられるか分からない環境のなか、戦っていることだろう。
心より、安全をお祈りする。それと同時に、ぜひ世界と日本に希望を示してほしい。
俺が英雄になってやるよ、という身の程知らずのバカのための「英雄になるためのハウツー」
どの国際問題を活動テーマにするべきか
もしあなたが英雄になろうと思われるのであれば、紛争問題と難民問題のどちからに絞るとよいだろう。(理由は上で述べた通り。)このふたつの問題の最新情報は、下記サイトから確認できる。
英雄活動を行う国の選定条件
英雄活動を行う国は、下記条件に基づき決定するとよいだろう。
- 条件1:紛争地や難民キャンプへのボランティア活動を行っている団体の力が借りられる; 現地情報の確保、生活パイプラインの確保
- 条件2:外務省報告内容から、政府の力が及ばないことが分かっている; 個人的な活動が大衆に与える効果を最大化できる国の選定 外務省 海外安全ホームページ
- 条件3:国境なき医師団、UNHCRのスタッフが常駐している国であること; 英雄活動が実を結んだとき、迅速なエスカレーションを進められる体制の確保
英雄が保持するべき4つのスキル
英雄とは、国が解決できない問題を個人で解決するから英雄なのだ。
さて、英雄になりたいあなたは紛争地あるいは難民キャンプに降り立ち、ボランティア活動に身を投じる。馬車馬のごとく働く傍ら、リーダーシップを発揮し、紛争地の民or難民との信頼関係を築く。徐々に情報網と影響力を拡大していき、問題の中心にいる人物と接触を図らなければならない。
つまりだ、戦場のど真ん中で生き延び、問題の中心にいる人物と接触するフェーズに到達するまでに必要なスキルを蓄えておかなければならない。
英雄に必要なスキルとは、下記4つだ。
①言語&スピーチ技術
②敵対する二つのグループをまとめる交渉力
③戦場で生きのびるためのスキル
④大衆をまとめ、導くための帝王学
①言語&スピーチ技術
行く予定の国の母国語を下記サイトである程度勉強しておこう。
民衆の心を動かすスピーチのテクニックについては、下記の本を参照しよう。

- 作者: サイモン・マイヤー,ジェレミー・コウルディ,池村千秋
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②敵対する二つのグループをまとめる交渉力
第3者が紛争ワーカー、平和ワーカーとして紛争当事国と対話しうる人材を養成するトレーニングが存在する。下記にトレーニングを受けられる機関のHPリンクを張り付けた。紛争転換の各種プログラムを企画・立案・実践・訓練するための国際NGOである。ここで勉強するとよいだろう。
なお、この期間を立ち上げたガルトゥング博士は、下記のような考えをもって、紛争問題の解決に臨んでいる。非常に勉強になるため、一度読んでみてもよいかもしれない。
余談になるが、2015年、ガルトゥング博士が来日しており、ワークショップを開くほか、沖縄の米軍普天間飛行場問題に言及している。日本人は、下記記事をぜひ読むべきだ。
blogos.comhttp://blogos.com/article/130059/
③戦場で生き延びるためのスキル
まず戦場経験を積まなければいけない。手っ取り早いのはサバゲ―だろう。実弾では一回撃たれたら終わりだ。相手をやっつけるよりは、フィールドを動き回りながらも一回も撃たれない立ち回りをサバゲ―で身に付けよう。他、自衛隊になる、傭兵になるという手段もある。
④大衆をまとめ、導くための帝王学
とりあえず、下記3冊を読んでおけば大丈夫だろう。
マキャベリの『君主論』
君主として権力を獲得し、保持し続けるために必要な力量、マインド、知識を学べる。
カエサルの『ガリア戦記』
カエサルによるフランス遠征記録である。戦場での生々しい失敗、組織を率いる者の現場感覚を学べる。
ジュスターヴの『群集心理』
大衆の心を思いのままに動かすためのあらゆるノウハウが詰まっている。
最後に、英雄になりたいあなたへ贈る言葉
英雄ってのはさ、英雄になろうとした瞬間に、失格なのよ
北岡秀一
この国のどこかで、人の命と平和のために戦っている純ジャパ英雄の卵に心からの賞賛と安否を祈り、この記事を〆ます。